軽の買取は走行距離でいくら下がる?
同じ年式・同じ車種でも、走行距離で中古の相場は大きく変わる。 当サイトは中古実勢8,845台を年式を固定して実測した。 結論から言うと1万kmあたり約4.52%(5年落ち)だが、この効き方は車の年数によって違う。
走行距離の効き方は「車の年数」で変わる 事実
これは当初想定していなかった発見だ。最初は5年落ちだけを測って「軽全体の距離係数」として扱おうとしたが、 3年落ちを追加で採って検証したところ、効き方がはっきり違った。
| 車の年数 | 1万kmあたり | 距離による開き共通範囲 |
|---|---|---|
| 3年落ち(2023年式) | −2.82% | 約30ポイント |
| 5年落ち(2021年式) | −4.52% | 約35ポイント |
若い車は走行距離で割り引かれにくい。1万kmあたりの下落は3年落ち約2.82%に対し5年落ち約4.52%で、約1.6倍の差がある。 同じ距離帯の範囲(10万km未満)で価格の開きを比べても、3年落ち約30ポイントに対し5年落ち約35ポイントと広い。 まだ新車価格に近いうちは市場が距離よりも装備や状態で値付けしており、 年数が経つと高走行であること自体が残り寿命のシグナルとして働くためだと考えられる。
検証の手順も開示しておく。まず「走行距離の効き方は年数によらず共通」という仮説を立て、許容差を5ポイントと先に決めてから同じ絶対走行距離帯で係数を比べた。結果は最大5.6ポイント差で仮説は棄却。 「年式相応の走行距離に対する比」に置き換えれば揃うかも試したが、差は21.7ポイントに拡大した。 つまり測り方の問題ではなく、実体としての違いだと判断している。
走行距離帯ごとの相場水準(実測)
同じ車種・同じ年式のまとまりの中央値を 1.00 としたときの水準。年式は固定しているので、これは走行距離だけの効果だ。
5年落ち(2021年式)の実測。緑=その年式の中央値より高い水準。
| 走行距離 | 3年落ち | 5年落ち |
|---|---|---|
| 〜2万km | 1.0161 | 1.0723 |
| 2〜4万km | 0.9953 | 1.029 |
| 4〜6万km | 0.9408 | 0.9679 |
| 6〜8万km | 0.8311 | 0.8698 |
| 8〜10万km | 0.7149 | 0.7252 |
| 10万km超 | — | 0.576 |
「—」はサンプルが20台に届かず統計として出せない帯(3年落ちの10万km超は2台しかない)。測れていないものは空欄にしている。
金額にするとどうなるか(N-BOX・5年落ちの例)
5年落ちのN-BOXの想定売却額は、標準的な走行距離(年8,000km=5年で4万km)で約100.9万円。 ここに5年落ちの係数を当てると、走行距離だけでこれだけ動く。
| 走行距離 | 想定売却額の目安 | 4万km時との差 |
|---|---|---|
| 10,000 km | 108.3万円 | +7.5万円 |
| 20,000 km | 106.1万円 | +5.3万円 |
| 40,000 km | 100.9万円 | — |
| 60,000 km | 92.8万円 | −8.0万円 |
| 80,000 km | 80.6万円 | −20.3万円 |
| 100,000 km | 68.2万円 | −32.6万円 |
標準走行距離(4万km)を基準1.00とした相対補正。N-BOXのリセールページでは、 スライダーで自分の走行距離を入れて同じ計算ができる。
車種によって効き方が違う
1万kmあたりの下落率は車種で幅がある(5年落ちでの比較)。商用ベース・箱型は走行距離で下がりやすく、趣味性が高く中古需要の強い車は緩やかだ。
| 車種 | 1万kmあたり | |
|---|---|---|
| エブリイワゴン | -6.28% | |
| ムーヴ | -5.99% | |
| N-VAN | -5.94% | |
| eKスペース | -5.5% | |
| …(中略)… | ||
| ワゴンR スマイル | -2.87% | |
| ルークス | -3.35% | |
| ジムニー | -3.44% | |
| ハスラー | -3.83% | |
特徴的なのはアルトだ。走行距離との相関がほとんどない(決定係数 R²=0.026)。 新車価格が安く中古価格も下限に張り付いているため、距離が伸びてもそれ以上下がりにくい。安い車ほど「走行距離が多いから安く買える」余地は小さいということでもある。
走行距離より効くもの=修復歴
測っている途中で分かったことがある。修復歴のほうが走行距離より大きく効く。修復歴ありの個体は中央値が約27%低く、これは走行距離1万km分(5年落ちで約4.52%)の約6倍にあたる。 走行距離を気にする人は多いが、金額のインパクトでは修復歴が上位だ。
当サイトの距離帯係数は、売却額の目安として想定する個体を修復歴なしに揃えるため、修復歴ありを除外して算出している(実測サンプルの約5%が該当した)。
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- 価格は「車両本体価格」を使う。支払総額は諸費用込みで約1割高く出るため使わない。
- 年式はピンポイントで固定して採取する。年式帯で採ると掲載台数の多い年式に引っ張られ、走行距離の効果と混ざる。
- 順位空間に等間隔なページを採る。掲載一覧の並び順は価格と相関するため、先頭ページだけを見ると安い個体に偏る。
- 車種×年式のまとまりごとに中央値=1.00へ正規化してから合算する。水準(残価率そのもの)は世代や新車価格に依存するが、傾き(走行距離の効き方)は車種を跨いで合算できる。
- 年数は分けて集計する。効き方が年数で違うことを実測で確認したため、3年落ちと5年落ちを混ぜない。
- グレードはslug定義に合わせて絞り込む。標準ラインのみを対象とする車種にカスタム系が混ざると価格帯が変わってしまう。
- 修復歴ありは除外する。
- サンプル20台未満の帯は公開しない。測れていないものを数字にしない。
機械可読データ(年数別の距離帯係数・サンプル数・手法)は /data/keicars.json の mileage_bands に収録している(CC BY 4.0)。 決定係数は5年落ちで R²=0.171、3年落ちで R²=0.097。走行距離だけで中古価格のばらつきの一部を説明する、という位置づけだ。
よくある質問
軽の買取は走行距離でどれくらい下がる?
車の年数によって違います。当サイトが中古実勢8,845台を実測した結果、5年落ちは1万kmあたり約4.52%、3年落ちは約2.82%でした。5年落ちの場合、走行距離が2万km以下の車はその年式の中央値より約7.2%高く、10万kmを超えると約42.4%低くなります。同じ年式・同じ車種でも走行距離だけで50ポイントほどの開きが出ます。年式を固定して測っているので、これは走行距離だけの効果です。
走行距離の影響は車が古いほど大きい?
はい。実測で確認できました。1万kmあたりの下落は3年落ちで約2.82%、5年落ちで約4.52%と、古い車のほうが走行距離で強く割り引かれます。同じ距離帯の範囲(10万km未満)で価格の開きを比べても、3年落ち約30ポイントに対し5年落ち約35ポイントです。若い車はまだ新車価格に近く、市場が距離よりも装備や状態で値付けしているためと考えられます。逆に年数が経つと、高走行であること自体が残り寿命のシグナルとして働き、割引が拡大します。この年数依存は当初想定しておらず、3年落ちのコホートを追加で採取して検証した結果わかったことです。
10万kmを超えると軽の価値はなくなる?
「なくなる」わけではありませんが、落ち込みは急になります。5年落ちの実測では10万km超の相場水準はその年式の中央値の約0.576倍(約42.4%低い)です。一方で軽は10万km超でも中古市場に流通しており、値が付かなくなるわけではありません(実測サンプルにも10万km超が100台含まれています)。なお3年落ちで10万km超はサンプルが2台しかなく、統計として出せる水準にないため公開していません。
走行距離と修復歴、どちらが買取額に効く?
修復歴のほうが大きく効きます。当サイトの実測では、修復歴ありの個体は中央値が約27%低く、これは走行距離1万km分(5年落ちで約4.52%)の約6倍にあたります。走行距離を気にする人は多いですが、金額のインパクトでは修復歴が上位です。なお当サイトの距離帯係数は、売却額の目安として想定する個体を修復歴なしに揃えるため、修復歴ありを除外して算出しています。
車種によって走行距離の効き方は違う?
違います。5年落ちでの1万kmあたりの下落はワゴンR スマイルの約2.87%からエブリイワゴンの約6.28%まで幅があります。商用ベースや箱型のモデルは走行距離で下がりやすく、趣味性が高くて中古需要の強い車は緩やかです。特徴的なのはアルトで、走行距離との相関がほとんどありません(決定係数R²=0.026)。新車価格が安く中古価格も下限に張り付いているため、距離が伸びてもそれ以上下がりにくいという構造です。
この数値はどうやって出している?
カーセンサー中古車一覧の個別掲載価格(支払総額ではなく車両本体価格)を当サイトが集計しています。年式をピンポイントで固定して採取した個票を、車種×年式のまとまりごとに「中央値=1.00」に正規化してから合算し、距離帯ごとの中央値を係数にしました(2026-07時点・3年落ち4,181台/5年落ち4,664台)。年式を固定しているので年式と走行距離が混ざりません。掲載一覧の並び順は価格と相関するため、順位空間に等間隔なページを採って先頭ページ偏りを排除しています。第三者の相場表を転記したものではありません。
実際の買取額もこの通りになる?
なりません。これは中古車の掲載価格から測った相場の傾向で、実際の買取額は年式・走行距離のほかに、グレード・ボディカラー・装備・修復歴・整備状況・その時の中古相場、そして買取店ごとの在庫事情で変わります。掲載価格は買い手が払う額なので、売却時の買取額はこれより低くなります(当サイトの残価試算では買取係数0.85を掛けています)。実額は複数社に査定してもらって比べるのが確実です。
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